風を味方に!空力性能(CD値)で選ぶ低燃費車

【PR】この記事には広告を含む場合があります。

車の燃費を良くしたいと考えたとき、多くの方はエンジンの性能やハイブリッドシステムに注目するかもしれません。
しかし、実は「風」、つまり空気の抵抗も燃費に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。

車が空気の中を進む際には、目には見えない大きな壁のような力が働いています。
この空気抵抗を示す指標の一つが「CD値(シーディーち)」と呼ばれるものです。

これからの車選びでは、このCD値という数値を少し意識するだけで、より賢く経済的な一台を見つける手助けになるかもしれません。
この記事では、CD値の基本から燃費との関係、そして車選びのポイントまでを分かりやすく解説していきます。

目次

空力性能(CD値)とは?まずは基本を知ろう

CD値が示す「空気抵抗」の正体をわかりやすく解説

CD値とは、空気抵抗係数(Coefficient of Drag)の略称です。
これは、ある形の物体が空気中を移動する際に、どれくらい空気の抵抗を受けにくいか、つまり「空気の受け流しやすさ」を数値で表したものです。

例えば、平らな板を風に向けると強い抵抗を感じますが、先端の尖ったロケットのような形はスムーズに風が流れていきます。
このように、物体の「形」によって空気抵抗の受けやすさは大きく変わります。

車においても同様で、ボディの形状がどれだけ滑らかで、空気をきれいに後方へ流せるデザインになっているかを示す指標がCD値なのです。

CD値は数値が低いほど優れている?その理由

CD値は、その数値が小さければ小さいほど、空気抵抗が少ないことを意味します。
つまり、空力性能に優れていると言えるでしょう。

なぜなら、数値が低い車ほど、走行中に空気から受ける邪魔が少なくなるからです。
車が前に進もうとする力を妨げる力が弱まるため、同じ速度を保つのに必要なエネルギーも少なくて済みます。

これは、アクセルを余計に踏み込む必要がなくなることにつながり、結果としてガソリンの節約、すなわち燃費の向上に直接的に貢献するわけです。

そのため、自動車メーカーは燃費の良い車を開発するために、このCD値を0.01でも下げるための研究開発を続けています。

CD値と間違えやすい「前面投影面積」との違い

CD値と共によく使われる言葉に「前面投影面積(A値)」があります。
CD値が車の「形」の良し悪しを示すのに対し、前面投影面積は車を正面から見たときの「大きさ」を示すものです。

実際の空気抵抗の大きさは、この二つを掛け合わせた「CDA値」で決まります
たとえCD値が非常に優秀でも、車体が大きければ、それだけ多くの空気にぶつかるため抵抗は増えてしまいます。

逆に、車体が小さくても、形が角張っていれば抵抗は大きくなります。
燃費を考える上では、形の滑らかさ(CD値)と正面からの大きさ(A値)の両方が影響し合う、と理解しておくと良いでしょう。

指標意味
CD値(空気抵抗係数)物体の「形の滑らかさ」流線形か、角張っているか
A値(前面投影面積)物体の「正面から見た大きさ」軽自動車か、大型トラックか
全体の空気抵抗CD値 × A値 で総合的に決まる総合的な風の当たりやすさ

なぜCD値が低いと燃費向上につながるのか?その関係性を解明

車の走行を妨げる「3つの走行抵抗」

車が走行するとき、前進しようとする力に対して、それを妨げようとする力が常に働いています。
この力を「走行抵抗」と呼び、主に3つの種類に分けられます。
一つ目は「転がり抵抗」で、タイヤが路面を転がる際に生じる抵抗です。
二つ目は「勾配抵抗」で、坂道を上る際に重力によって後ろに引かれる力のことです。
そして三つ目が、今回のテーマである「空気抵抗」です。
これは、車体が空気を押し分けながら進むときに、空気から受ける圧力や摩擦によって発生します。

これらの抵抗に打ち勝つために、エンジンは燃料を消費してエネルギーを生み出しているのです。

高速道路などで特に影響が大きくなる空気抵抗

3つの走行抵抗の中で、空気抵抗は特に車の速度と深い関係があります
実は、空気抵抗の大きさは速度の2乗に比例して増えていくという特徴があるのです。
つまり、速度が2倍になれば空気抵抗は4倍に、速度が3倍になれば9倍にもなってしまいます。

市街地をゆっくり走っているときはそれほど影響は大きくありません。
しかし、高速道路を時速80kmや100kmで走行するようになると、空気抵抗は走行抵抗全体の半分以上を占めるほど支配的になります
したがって、高速走行が多ければ多いほど、CD値の低い車が燃費面で有利になるわけです。

空気抵抗が減るとエンジンへの負担も軽くなる仕組み

空気抵抗が減るということは、車が前に進むのを邪魔する力が弱まることを意味します。
同じ速度を維持するために必要なエネルギーが少なくて済むようになるため、エンジンの負担は直接的に軽くなります。

例えば、向かい風の中で自転車をこぐと大変ですが、追い風のときは楽に感じるのと同じ原理です。
エンジンが必要とする力が減れば、アクセルペダルを踏む量も自然と少なくなります。
つまり、アクセルを踏む量が減れば、エンジンに送られる燃料の量も減少します

この一連の流れによって、空気抵抗の低減は燃費の向上へとつながっていくのです。

見た目にも影響?CD値を下げるための車体のデザインと工夫

流れるようなフォルム(流線形)がもたらす効果

CD値を下げるための最も基本的なデザインは、車体全体を滑らかな流線形にすることです。
水の滴や航空機の翼が、自然と抵抗の少ない形になっているのと同じ考え方です。

具体的には、ボンネットからフロントガラス、ルーフ、そして車の後端まで、空気が剥がれずにスムーズに流れるような曲線で構成されます。

特に車の後方で空気が渦を巻いてしまうと、車を後ろに引っ張る大きな抵抗が生まれてしまいます。
これを防ぐため、ルーフから後端にかけて緩やかに傾斜させるデザインは、CD値を下げる上で非常に効果的と言われています。
見た目の美しさだけでなく、機能的な意味も大きいのです。

見えない部分の努力!車体底面(アンダーフロア)の重要性

車のデザインというと、ボディの上面や側面に目が行きがちですが、実は車体の底面、つまりアンダーフロアも空力性能に大きく影響します。

従来の車では、マフラーやサスペンションなどがむき出しで、底面の凹凸が大きな空気の乱れを生んでいました。
しかし近年の燃費を重視した車では、アンダーカバーと呼ばれる平らなパネルで底面を覆い、できるだけフラットにする工夫が凝らされています。

これにより、床下の空気がスムーズに後方へ流れ、車体全体が地面に吸い付くような安定性向上にも寄与します。
見えない部分にこそ、メーカーの技術的な努力が隠されている例と言えるでしょう。

ドアミラーやライト周りなど細部にも隠された秘密

優れた空力性能は、全体のフォルムだけでなく、細かな部品のデザインによっても支えられています。
例えば、ドアミラーは空気抵抗を生みやすい部品の代表格でした。

そのため、最近では付け根の部分に小さな突起を設けたり、風切り音を低減する形状にしたりと、空気の流れを巧みにコントロールする工夫が見られます

他にも、ヘッドライトの横やリアコンビランプに小さなフィンを追加して空気の流れを整えたり、ホイールのデザインでタイヤ周りの空気の乱れを抑えたりしています。

こうした一つ一つの地道な改善の積み重ねが、車全体のCD値を下げることにつながっているのです。

【最新情報】CD値で注目したい市販車をタイプ別に紹介

空力性能に優れたセダン・クーペタイプのモデル

セダンやクーペは、もともと車高が低く、流麗なデザインを採用しやすいため、空力性能の面で有利なボディタイプです。
ルーフからトランクにかけての滑らかなラインは、空気をきれいに後方へ流すのに適しています。

特に最近のモデルでは、Aピラー(フロントガラスの柱)をより寝かせたり、ボディ側面の凹凸を減らしたりすることで、さらにCD値を追求する傾向にあります。

高速道路を頻繁に利用し長距離の移動が多い方にとっては、セダンやクーペが持つ優れた空力性能は、燃費の良さや走行安定性という形で大きなメリットを感じられるでしょう。

最近のSUVで見る空力デザインの進化

SUVは、その形状から前面投影面積が大きく、一般的に空力性能では不利とされてきました。
しかし、近年の世界的なSUV人気の高まりを受け、メーカー各社は空力性能の改善に力を入れています

例えば、ルーフの後端をクーペのように傾斜させたデザインを採用したり、フロントグリルに開閉式のシャッターを設けて不要な空気の流入を防いだりするモデルも登場しています

また、ボディ下部に空力パーツを取り付けて床下の気流を整えるなど、見た目の力強さを損なうことなく、燃費性能を高めるための工夫が随所に見られます。

電気自動車(EV)やハイブリッド車と空力性能

電気自動車(EV)やハイブリッド車にとって、空力性能は特に重要な意味を持ちます。
これらの車は、限られたバッテリーや燃料で可能な限り長い距離を走ることが求められるためです。
航続距離を1kmでも延ばすために、空気抵抗の低減は最優先課題の一つとなります。

そのため、エンジンを冷やす必要がないEVではフロントグリルを完全に塞いだデザインにしたり、走行中にドアノブがボディに格納される仕組みを採用したりと、徹底的に空気抵抗を減らすための先進的な設計が取り入れられることが多いです。
空力性能は、次世代の車の性能を測る上で、ますます重要な指標になっていくと考えられます。

CD値だけで選ぶのは注意!低燃費な車選びのポイント

車体の重さやタイヤも燃費を左右する要素

優れたCD値は燃費の良い車を選ぶ上での重要なヒントですが、それだけが全てではありません。
忘れてはならないのが、車体の重さです。
車は重ければ重いほど、発進や加速、坂道を上る際に多くのエネルギーを必要とします。
これはストップアンドゴーの多い市街地走行で特に燃費に影響します。

また、タイヤの「転がり抵抗」も燃費を左右する大切な要素です。
燃費性能を重視して設計された「エコタイヤ」は、この転がり抵抗が少なくなるように作られています。
CD値と合わせて、車両重量や装着されているタイヤにも目を向けることで、より総合的に燃費の良い車を選ぶことができます

自分の主な運転シーン(市街地か高速か)を考慮しよう

あなたのカーライフにおいて、どのような場面で車を運転することが多いかを考えることも重要です。
前述の通り、CD値の恩恵を最も大きく受けられるのは、高速道路などでの高速度域での走行時です。

もしあなたの運転が、通勤や買い物など市街地での低速走行が中心なのであれば、CD値の優先度は少し下がります。
その場合は、むしろハイブリッドシステムによる発進時のモーターアシストや、アイドリングストップ機能、車両重量の軽さといった要素の方が、実用燃費に貢献する可能性が高いでしょう。

自分の使い方に合った強みを持つ車を選ぶことが、満足度の高いカーライフにつながります。

まとめ

この記事では、燃費性能を左右する意外な要素、「CD値」について掘り下げてきました。
CD値とは車の形の滑らかさを示す指標であり、数値が低いほど空気抵抗が少なく、特に高速走行時の燃費向上に大きく貢献します。

流線形のボディやフラットな床下など、メーカーの様々な工夫によってCD値は引き下げられています。
もちろん、車選びはCD値だけでなく、車両重量や利用シーンなど、様々な要素を総合的に考えることが大切です。

しかし、これまであまり気にすることがなかったかもしれない「空力性能」という視点を一つ加えるだけで、車選びはもっと奥深く、面白いものになるはずです。

カタログの片隅に書かれているCD値にも注目して、あなたのカーライフに最適な一台を見つけてみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次