大切な家族の一員であるペットと、いろいろな場所へ出かけられたら、行動範囲も広がり、たくさんの素敵な思い出が作れることでしょう。
ドッグランや景色の良い公園、少し遠くの動物病院へ行くときなど、車での移動が必要になる場面は意外と多いものです。しかし、いざペットと一緒にドライブすることを考えると、「どんな車を選べば良いのだろう?」と悩む方は少なくありません。
例えば、「うちの子は体が大きいけれど、窮屈な思いをさせないだろうか」「車内で粗相をしてしまったら掃除が大変そう」「そもそも、安全に乗せるにはどうしたら良いのだろう」といった、さまざまな不安や疑問が浮かんでくるかと思います。
車は決して安い買い物ではないため、購入してから「ペットには合わなかった」と後悔することは避けたいものです。
ペットとの快適なカーライフを実現するためには、デザインや燃費だけでなく、ペットの視点に立った車選びが非常に重要になります。
この記事では、ペットとのドライブを安全で快適なものにするための、車の選び方の具体的なポイントを解説していきます。
これから車の購入や買い替えを検討している方はもちろん、現在お乗りの車でのドライブに課題を感じている方にも、参考にしていただける内容です。
この記事を最後までお読みいただくことで、あなたと大切なペットにとって最適な一台を見つけるためのヒントが得られるはずです。
ペットとのドライブ、車選びで重視すべき3つの理由

ペットの安全を確保するために
ペットとのドライブで最も優先すべきなのは、言うまでもなく安全の確保です。運転中は、予期せぬ急ブレーキやカーブなど、車内が大きく揺れる場面が起こり得ます。
もしペットが車内で自由に動き回れる状態だと、体を強くぶつけて怪我をしたり、驚いてパニックになったりする危険性があります。
また、窓から顔を出している姿は可愛らしく見えますが、飛び出しのリスクや、対向車や飛来物と接触する恐れもあり、決して安全とはいえません。
そのため、ドライブボックスやクレートを安定して設置できる、フラットで広いスペースが確保できる車を選ぶことが極めて重要です。
シートベルトでしっかりと固定できる構造であれば、さらに安心感が高まります。
万が一の事態に備え、ペットのための安全な居場所を車内に作ってあげることが、飼い主の責任といえるでしょう。
人もペットも快適に過ごすために
安全な空間を確保できたら、次に考えたいのが快適性です。
特に長時間のドライブでは、人もペットもリラックスできる環境が求められます。
ペットは人間のように言葉で不快感を伝えることができないため、飼い主が配慮してあげる必要があります。
例えば、狭い空間で身動きが取れない状態が続くと、ペットは大きなストレスを感じ、車酔いの原因になることもあります。
また、人間とペットでは体感温度も異なります。特に暑さに弱いペットにとって、夏場の車内は過酷な環境です。
後部座席や荷室の足元までしっかりと空調の風が届く車を選ぶことは、熱中症などを防ぐ上で非常に大切です。
人もペットも「またこの車で出かけたい」と思えるような、快適な室内空間づくりを目指しましょう。
車内を清潔に保ちやすくするために
ペットと一緒に暮らす上で、抜け毛や汚れの問題は避けて通れません。
これは車内においても同様です。ドッグランで遊んだ後の土がついた足、雨の日の濡れた体、抜け毛やよだれ、そして時には粗相など、車内が汚れる要因は数多く存在します。
これらの汚れを放置すると、臭いの原因になったり、衛生的に良くなかったりするだけでなく、掃除をする飼い主の負担も大きくなってしまいます。そのため、車選びの段階で、掃除のしやすさを考慮に入れることが大切です。
例えば、シートが防水・撥水加工されている素材であったり、凹凸の少ない樹脂製の荷室ボードであったりすれば、汚れてもさっと拭き取るだけで済みます。
お手入れが簡単な車を選ぶことは、愛車を長くきれいに保つ秘訣であり、ペットとの気軽なお出かけを後押ししてくれる要素にもなります。
ここはチェック!ペットフレンドリーな車の選び方5つのポイント

それでは、具体的にどのような点に注目して車を選べば良いのでしょうか。ここでは、ペットとの利用を考えた場合に特にチェックしておきたい5つのポイントを解説します。
これらの点を基準に比較検討することで、後悔のない車選びができるはずです。
乗り降りのしやすさを決める「床の高さ」
ペット、特に犬にとって、車への乗り降りは意外と負担がかかる動作です。
特に、小型犬やシニア犬、足腰に不安のある犬の場合、車高の高い車だとジャンプして乗り降りする際に足を痛めてしまう可能性があります。
そこで重要になるのが、地面から車内の床面までの高さ、いわゆる「床の高さ」です。
床が低い設計の車であれば、ペットが自分でスムーズに乗り降りしやすくなります。
また、飼い主がペットを抱きかかえて乗せ降ろしする場合でも、腰への負担が少なく済みます。
特に、開口部が広く、床が低いスライドドアを備えたミニバンなどは、ペットにとっても飼い主にとっても非常に乗り降りがしやすい構造といえるでしょう。
試乗の際には、デザインだけでなく、実際にペットを乗せることをイメージしながら床の高さを確認してみてください。
快適性に直結する「室内空間の広さ」
ペットが車内で快適に過ごすためには、ある程度の広さが必要です。
ドライブボックスやクレートを置くことを考えると、それらを設置してもなお、圧迫感のない空間が求められます。
重要なのは、単に室内が広いだけでなく、床がフラットであるかどうかです。
後部座席を倒した際に段差ができてしまうと、クレートが傾いてしまい、ペットが落ち着いて過ごせません。
床面が平らであれば、安定してクレートを置けるだけでなく、ペットが伏せをしたときにも快適です。
また、天井が高い車であれば、室内空間に開放感が生まれ、ペットが感じるストレスも軽減されるでしょう。
大型のペットや多頭飼いをされている場合はもちろん、小型のペットであっても、ゆとりのある空間は長距離移動の快適性を大きく左右するポイントになります。
隅々まで快適な「空調機能」
人間よりも体温調節が苦手なペットにとって、車内の温度管理は非常に重要です。
特に夏場、少しの時間でも車内に残されると、熱中症のリスクが著しく高まります。
転席周りはエアコンが効いていて快適でも、後部座席や荷室には涼しい風が届きにくい車種も少なくありません。
そのため、車選びの際には、後部座席用のエアコン吹き出し口や、車内の空気を効率よく循環させるためのリアサーキュレーターといった装備の有無を確認することが大切です。
これらの装備があれば、広い車内の隅々まで快適な温度を保ちやすくなります。
同様に、冬場の移動ではリアヒーターがあれば、足元から体を温めることができます。
ペットをどの座席に乗せるかを想定し、その場所までしっかりと空調が届くかどうかを必ずチェックしましょう。
お手入れが簡単な「シートの素材」
ペットとのドライブで避けては通れないのが、車内の汚れです。
特にシートは、抜け毛やよだれ、足の汚れなどが付きやすい部分といえます。
一般的な布製のファブリックシートは、毛が繊維の奥に入り込んで掃除が大変だったり、水分を吸い込んでシミや臭いの原因になったりすることがあります。
そこでおすすめなのが、防水・撥水加工が施されたシートや、汚れを拭き取りやすい合成皮革(レザー調)のシートです。
これらの素材であれば、汚れてしまっても濡れたタオルなどでさっと拭き取るだけで簡単にお手入れができます。
最近では、ペットとの暮らしを想定して、最初から防水仕様のシートや荷室ボードを採用している車種も増えています。
もちろん、後から防水のシートカバーを装着する方法もありますが、車本来のインテリアを活かしたい場合は、シート素材にこだわって選ぶと良いでしょう。
荷物の量に対応できる「荷室の広さ」
ペットとのお出かけは、想像以上に荷物が多くなるものです。
普段の散歩とは違い、ドライブや旅行となると、ドライブボックスやクレート、数日分のフード、給水ボトル、トイレ用品、お気に入りのおもちゃ、タオルなど、準備するものがたくさんあります。
これらの荷物をすべて積んだ上で、ペットのスペースも確保しなければなりません。
そのため、荷室(ラゲッジスペース)に十分な広さと高さがあるかどうかは、非常に重要なチェックポイントです。
また、 広いだけでなく、開口部が大きくて荷物の出し入れがしやすいか、床が低くて重いクレートなどを載せやすいか、といった使い勝手も確認しておきましょう。
後部座席を倒すことで荷室を拡大できる車も多いですが、その際の床面がフラットになるかどうかも、大きな荷物を安定して積むためには大切な要素です。
【タイプ別】車の特徴とペットとの相性

コンパクトで運転しやすい「軽自動車・コンパクトカー」
軽自動車やコンパクトカーの最大の魅力は、その取り回しの良さにあります。
車体が小さいため、狭い道でのすれ違いや駐車も比較的容易で、運転に自信がない方でも安心して乗ることができます。
また、車両価格や税金、燃費といった維持費が安く抑えられる点も大きなメリットです. 近所の動物病院や公園への短い距離の移動がメインで、乗せるペットが小型犬一頭といった場合には、十分な選択肢となるでしょう。
ただし、室内空間は限られるため、大型のペットや多頭飼いには不向きです。
長距離の移動では、パワー不足を感じる場面があるかもしれません。
最近では、後部座席を倒すと広大なフラットスペースが出現する軽スーパーハイトワゴンなど、ペットとの利用を意識したモデルも増えています。
アクティブなお出かけにぴったりな「SUV」
SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は、スポーティーなデザインと高い走行性能で人気のボディタイプです。
最低地上高が高めに設定されているモデルが多く、多少の悪路なら気にせず走れるため、キャンプ場や山間部のドッグランなど、自然豊かな場所へのお出かけが好きなアクティブな飼い主さんには最適な選択肢といえるでしょう。
荷室も広く設計されている車種が多く、アウトドア用品と一緒にペットの荷物もしっかりと積むことができます。
一方で、車高が高いということは、ペットの乗り降りに負担がかかる可能性があるというデメリットにもなります。
小型犬やシニア犬の場合は、スロープやステップを用意するなどの工夫が必要になるかもしれません。
荷室が樹脂製で汚れに強いモデルが多いのも、ペットオーナーにとっては嬉しいポイントです。
多頭飼いや大型のペットにもおすすめな「ミニバン」
ペットとのドライブにおける快適性を最も高いレベルで満たしてくれるのがミニバンです。
なんといっても最大のメリットは、その圧倒的な室内空間の広さにあります。
天井が高く、足元も広々としているため、大型のペットの大きなクレートを置いても圧迫感がありません。
多頭飼いの場合でも、それぞれのペットに十分なスペースを確保することができます。また、後席にスライドドアを採用しているモデルがほとんどで、開口部が広いため大きな荷物の出し入れやペットの乗り降りが非常にスムーズです。床が低く設計されている車種が多いのも、ペットや小さな子供のいる家庭にとっては大きな利点となります。
ただし、車体が大きい分、狭い道での運転には慣れが必要な側面もあります。
車の購入とあわせて準備したい!快適ドライブお役立ちアイテム

ペットの指定席を確保する「ドライブボックスやクレート」
ペットを安全に車に乗せる上で、ドライブボックスやクレートは必須のアイテムです。
これらを使用する最大の目的は、運転中にペットが動き回るのを防ぎ、万が一の際にペットの体を守ることです。
膝の上に乗せたり、助手席にそのまま座らせたりするのは、急ブレーキ時にペットが前に飛び出してしまったり、エアバッグ作動時に大きなダメージを受けたりする危険があり、大変好ましくありません。
ドライブボックスやクレートを後部座席や荷室に置き、シートベルトや専用のベルトでしっかりと固定することで、ペットのための安全な空間を確保できます。
また、普段から「自分の居場所」として慣れさせておくことで、ペットが車内で安心して過ごせるようになり、ストレスの軽減にも繋がります。
サイズや素材、形状も様々なので、ペットの体の大きさに合ったものを選んであげましょう。
汚れや傷から車内を守る「シートカバーやマット」
ペットとのカーライフを気兼ねなく楽しむためには、車内の汚れ対策が欠かせません。
そこでお役立ちなのが、シートカバーやラゲッジマットです。特に防水・撥水加工が施されたシートカバーを装着しておけば、よだれや雨の日の濡れた体、万が一の粗相などから、車のシートをしっかりと保護してくれます。
また、ペットの爪によるひっかき傷を防ぐ効果もあります。座席全体をすっぽりと覆うことができるフルカバータイプや、後部座席をハンモックのように使えるタイプなど、様々な種類があります。
同様に、荷室にラバー製や樹脂製のマットを敷いておけば、土や砂で汚れたアウトドアグッズやペット用品を積む際にも安心です。
これらのアイテムを活用することで、掃除の手間が大幅に削減され、愛車の価値をきれいに保つことにも繋がります。
後悔しないための最終チェックポイント

試乗で乗降のシミュレーションをしてみる
車の購入を検討する際、試乗は欠かせないプロセスですが、ペットとの利用を考えるなら、ただ運転するだけでは不十分です。実際にペットを乗せ降ろしするシーンを具体的にシミュレーションしてみましょう
例えば、いつも使っているクレートやキャリーバッグを持参し、それが後部座席や荷室にスムーズに収まるか、安定して固定できそうかを確認します。
ドアの開口部の広さや高さは、ペットやクレートを抱えて乗り降りする際に無理のないものか、自分の体で確かめてみることが大切です。また、運転席に座ってみて、後部座席にいるペットの様子がルームミラーや振り返ることで確認しやすいかどうかも、意外と重要なポイントです。
こうしたリアルな視点でのチェックが、本当に使いやすい一台を見つけるための近道となります。
中古車の場合は車内の臭いも確認する
新車ではなく中古車を検討している場合は、内外装のきれいさや走行距離だけでなく、「車内の臭い」にも注意を払う必要があります。
前の所有者が喫煙者であったり、強い香りの芳香剤を使用していたり、あるいは同じようにペットを乗せていたりした場合、その臭いが車内に残っていることがあります。
人間にとっては気にならない程度の微かな臭いであっても、嗅覚が何倍も優れているペットにとっては、強い不快感やストレスの原因になりかねません。
確認する際は、ドアを閉め切った状態でしばらくしてから乗車してみたり、エアコンの送風をオンにして吹き出し口からの臭いを嗅いでみたりすると分かりやすいです。
ペットがリラックスできる清潔な空間かどうか、自分の鼻でしっかりと確かめることを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、ペットと快適にドライブできる車の選び方について、さまざまな角度から解説しました。
大切な家族であるペットとのカーライフを楽しく、そして安全なものにするためには、車選びが非常に重要な第一歩となります。
まず、車選びがなぜ重要なのか、その理由として「ペットの安全確保」「人もペットも快適な空間づくり」「車内を清潔に保つためのメンテナンス性」の3点を挙げました。
これらを意識するだけで、車を見る視点が大きく変わってくるはずです。
そして、具体的な選び方のポイントとして「床の高さ」「室内の広さとフラットな床」「空調機能」「シート素材」「荷室の広さ」という5つのチェック項目を紹介しました。
これらのポイントを一つひとつ確認しながら候補の車を比較検討することで、ご自身のペットやライフスタイルに合った一台が見つけやすくなります。
さらに、「軽自動車」「SUV」「ミニバン」といったボディタイプ別の特徴を知ることで、より具体的に車種を絞り込めるでしょう。
車というハード面だけでなく、ドライブボックスやシートカバーといったアイテムを揃えること、そして購入前には試乗で使い勝手をシミュレーションしたり、中古車の場合は臭いを確認したりといった最終チェックも忘れてはなりません。
車は、単なる移動手段ではなく、ペットとの大切な思い出を育む舞台となります。
この記事でご紹介した内容を参考にしていただき、ぜひあなたと愛するペットにとって最高のパートナーとなる一台を見つけてください。
そして、安全で快適なドライブを心ゆくまで楽しんでいただければ幸いです。