車は多くの人にとって、生活を豊かにしてくれる大切なパートナーです。
どうせなら、購入する時のワクワク感だけでなく、手放す時のことまで考えて賢く選びたいものですよね。
そこで重要になるのが「リセールバリュー」という考え方。
これは、将来あなたの愛車を売却する際の価値を示す指標のことです。
リセールバリューが高い車を選べば、次の車への乗り換えがスムーズになったり維持にかかる実質的な費用を抑えられたりする可能性があります。
車は決して安い買い物ではありません。
だからこそ購入時の価格だけでなく、数年後にどれくらいの価値が残っているのかを視野に入れることは非常に合理的な選択と言えるでしょう。
この考え方を知っているかどうかで、長期的に見た時の満足度が大きく変わってくることも少なくありません。
この記事では、所有する喜びを満たしつつ、将来的な価値も高い車に共通する特徴について分かりやすく解説していきます。
これからの車選びの一つの参考になれば幸いです。
そもそもリセールバリューとは?

「再販価値」が高いということ
リセールバリューとは、一言で言えば「再販価値」のことです。
一度購入された車が中古車として市場で再び販売される際に、どれくらいの価値(価格)が付くかを示す指標を指します。
この価値は、一般的に「残価率」というパーセンテージで表現されることが多いです。
残価率は、新車時の販売価格に対して、将来の売却価格がどれくらいの割合を占めるかで計算されます。
例えば、300万円で購入した車が3年後に210万円で売れた場合残価率は70%となり、これはリセールバリューが非常に高い状態と言えます。
逆に、同じ300万円の車が3年後に150万円の価値になった場合、残価率は50%です。
この残価率が高いほど、「リセールが良い」「価値が落ちにくい車」と評価されます。
中古車市場の価格は需要と供給のバランスによって常に変動しており、多くの人が欲しがる人気の車ほどリセールバリューは高くなる傾向にあります。
なぜリセールバリューが重要なのか
リセールバリューが重要視される最大の理由は、車を所有するために実質的にかかる費用を大きく左右するからです。
車を手放す時、購入時の価格と売却時の価格の差額が、その車に乗るためにかかった本体費用と考えることができます。
例えば、本体価格が同じ300万円のA車とB車があったとします。
3年後、A車のリセールバリューが高く200万円で売れた場合、実質的な負担は100万円です。
一方、B車のリセールバリューが低く120万円でしか売れなかった場合、実質的な負担は180万円にもなります。
リセールバリューが高い車を選ぶことは将来の出費を抑えることに直結し、次の車への乗り換えを非常に有利に進めることにつながります。
手元に残るお金が多ければ、次の車の購入資金に充当でき、選択肢の幅も広がります。
このように計画的に車を選ぶことで、より豊かで経済的なカーライフを送る一つのきっかけになるのです。
将来の価値を左右する!リセールバリューが高い車の特徴

人気のボディタイプはやっぱり強い
中古車市場でのリセールバリューを考える上で、ボディタイプは非常に重要な要素です。
中でも、SUVやミニバンは、高いリセールバリューを維持しやすい代表格と言えるでしょう。
その理由は、使い勝手の良さと幅広い層からの安定した需要にあります。
SUVは、スタイリッシュなデザインに加え、悪路走破性や荷物の積載能力の高さからアウトドアなどの趣味を持つ人々を中心に絶大な人気を誇ります。
また、ミニバンは広い室内空間とスライドドアの利便性から、特にファミリー層からの需要が途切れることがありません。
これらのボディタイプは流行り廃りの影響を受けにくく、数年後も安定して「欲しい」と思う人が多いため、中古車市場での価値が落ちにくいのです。
もちろん、燃費性能に優れたコンパクトカーやハイブリッド車も根強い人気があり、リセールバリューが高い傾向にあります。
ボディタイプ | 主な特徴 | 人気の理由 |
SUV | 高い走破性・広い荷室 | アウトドア、レジャー需要、デザイン性 |
ミニバン | 広い室内空間・スライドドア | ファミリー層からの安定した需要、多人数乗車 |
コンパクトカー | 低燃費・運転のしやすさ | 経済性、都市部での利便性 |
定番のボディカラーが選ばれる理由
車の価値を左右する意外な要素として、ボディカラーが挙げられます。
リセールバリューを意識するのであれば、最も堅実な選択は、白(特にパールホワイト系)と黒です。
これは性別や年齢を問わずあらゆる層から好まれる「定番色」であり、中古車市場で最も買い手が見つかりやすいという大きなメリットがあります。
中古車を探している人の多くは、個性的で奇抜な色よりも誰からも受け入れられやすい無難な色を求める傾向にあります。
そのため、赤や青、黄色といった鮮やかな色は、新車購入時は魅力的に見えても売却時には好みが分かれるため価値が下がりやすいのです。
実際、同じ車種、同じ年式、同じ走行距離の車であっても、色が違うだけで査定額に10万円以上の差がつくことも珍しくありません。
もしあなたが将来の売却まで見据えているのであれば、この定番色を選んでおくのが賢明な判断と言えるでしょう。
信頼性が高い人気メーカーの魅力
どのメーカーの車を選ぶかという点も、リセールバリューに大きく影響します。
一般的に、国内外でブランドイメージが確立されており、「壊れにくい」「丈夫で長持ちする」といった信頼性の高い評価を得ているメーカーの車は、価値が落ちにくい傾向にあります。
これは、中古車を購入するユーザーの心理を考えれば当然のことかもしれません。
中古車を選ぶ際、多くの人は「購入後に故障しないか」「長く安心して乗れるか」という点を重視します。
そのため、品質や耐久性に定評のあるメーカーの車は、中古車市場でも高い需要を維持し続けることができるのです。
特に、海外での人気が高い特定のメーカーや車種は、国内だけでなく海外への輸出という需要も見込めるため、年式が古くなったり走行距離が伸びたりしても想定以上の高値で取引されることがあります。
こうした背景から、メーカーが長年築き上げてきた信頼そのものが、リセールバリューを支える強力な要因となっています。
あると嬉しいオプション装備
新車購入時に追加するオプション装備も、将来のリセールバリューを左右する大切なポイントです。
特に、後から取り付けることができない、あるいは取り付け費用が高額になる「メーカーオプション」は、査定時の評価を高める傾向にあります。
代表的なものとして、純正のナビゲーションシステムや近年需要が急増している衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全運転支援システムが挙げられます。
また、開放感があり車内の印象を良くするサンルーフや高級感を演出する本革シートも、中古車市場で人気が高い装備です。
これらの装備が付いていることで、同じ車種の中でも付加価値が生まれ、買い手がつきやすくなります。
ただし、注意したいのは過度なカスタマイズです。
個人的な趣味が強く反映された社外品のエアロパーツやホイールなどは、逆に好みが分かれてしまい査定でマイナス評価となる可能性もあるため、純正に近い状態を保つことが高いリセールバリューを維持する上では重要と言えます。
リセールバリューを高く維持するための乗り方のコツ

定期的なメンテナンスの重要性
リセールバリューが高い車種を選んだとしても、その後の乗り方や手入れ次第で価値は大きく変わってしまいます。
将来の査定額を高く維持するために最も重要なのが、定期的なメンテナンスを欠かさず行うことです。
エンジンオイルやフィルター類、タイヤといった消耗品を適切な時期に交換し、定期点検をしっかりと受けている車は、機関系のコンディションが良好に保たれています。
これは、次のオーナーが安心して乗れるという大きな信頼につながり、査定時の高い評価に直結します。
特に、いつ、どこで、どのような整備を行ったかが記録されている「整備記録簿(メンテナンスノート)」の存在は非常に重要です。
この記録簿があることで、その車が大切に扱われてきたことの客観的な証明となり査定士に良い印象を与えます。
日頃から車の状態に気を配り愛情を持ってメンテナンスを続けることが、愛車の価値を守る最善の方法なのです。
車内をきれいに保つ心がけ
査定時に意外と厳しくチェックされるのが、車内の状態です。
シートのシミや内張りの傷、フロアマットの汚れなどは査定士の印象を大きく左右し、リセールバリューに直接的な影響を与えます。
特に、臭いの問題は深刻です。食べ物やペットの臭い、あるいは湿気によるカビの臭いなどが染み付いてしまうと、買い手が見つかりにくくなるため、査定額が大幅に下がってしまう原因となります。
内装がきれいな車は、それだけで「この車は大切に乗られてきたんだな」というポジティブな印象を与えます。
日頃からこまめに掃除機をかけたり、固く絞ったタオルで内張りを拭いたりするだけでも、きれいな状態を維持することは可能です。
また、車内で食事をする際には、食べこぼしに注意するなどの小さな心がけも大切です。
清潔で快適な車内は、日々の運転を気持ちの良いものにするだけでなく、将来の愛車の価値を守ることにもつながるのです。
適切な走行距離を意識する
年式と並んで、車のリセールバリューを判断する上で最も重要な指標の一つが「走行距離」です。
走行距離は、その車がどれだけ使用されてきたか、つまりエンジンやサスペンションといった主要部品がどれだけ消耗しているかを示す目安と見なされます。
一般的に、中古車市場では年間の平均走行距離を1万キロ前後としており、これを基準に価値が判断されることが多いです。
例えば、5年落ちの車であれば、走行距離が5万キロ前後であれば標準的、それより大幅に少なければプラス評価、逆に10万キロを超えているようだとマイナス評価、といった具合です。
そのため、普段から不必要に車を乗り回すのではなく、適切な距離を保つように意識することもリセールバリューを維持する上では一つのポイントとなります。
ただし、極端に走行距離が少ない場合も長期間動かしていなかったことによる部品の劣化が懸念されることもあるため、定期的に適度な距離を走らせてあげることが、車にとって最も良い状態と言えるでしょう。
リセールバリューを意識した車選びの注意点

購入時の価格が高くなる傾向
リセールバリューが高い車を選ぶことには多くのメリットがありますが、一つ注意しておきたい点があります。
それは、そもそも購入時の車両価格が高くなる傾向があるということです。
リセールバリューが高いということは、新車の状態でも多くの人から求められる人気車種であることを意味します。
需要が高いため、メーカー側も強気な価格設定をするのが一般的で、大幅な値引きなども期待しにくいのが実情です。
例えば、人気のSUVやミニバンの上級グレードと比較的リセールバリューが落ち着いているセダンなどでは、同程度の装備であっても数十万円の価格差があることも珍しくありません。
もちろん売却時の価格も高いため、数年間所有した場合の実質的な負担額で考えれば結果的にお得になる可能性は十分にあります。
しかし、購入時の初期費用としてまとまった資金が必要になることは、あらかじめ理解しておくべき重要なポイントと言えるでしょう。
モデルチェンジの時期を見極める
リセールバリューを考える上で、絶対に無視できないのが「モデルチェンジ」のタイミングです。
自動車メーカーは、数年に一度のサイクルで、デザインや性能を大幅に刷新するフルモデルチェンジを行います。
そしてこのフルモデルチェンジが行われるとそれまでのモデルは「旧型」となり、中古車市場での価値が大きく下落するのが一般的です。
新しいデザインや性能を備えた新型車に世間の注目が集まるため、旧型モデルの需要が急激に減ってしまうからです。
もしあなたが車の購入を検討している車種のモデルチェンジが近いという情報を得たなら、少し待つというのも賢明な判断かもしれません。
モデルチェンジの直前に現行モデルを購入すると、納車後すぐに価値が下がってしまう可能性があるからです。
車の情報サイトや雑誌などで、お目当ての車種のモデルチェンジ周期を事前に調べておくことは、損をしない車選びのための重要なステップです。
まとめ
今回は、将来の価値まで見据えた賢い車選びの指標となる「リセールバリュー」について、その特徴や注意点を解説しました。
リセールバリューが高い車には、人気の「ボディタイプ」や「ボディカラー」、信頼性の高い「メーカー」、そしてあると嬉しい「オプション装備」といった共通点があることをご理解いただけたかと思います。
これらの要素は、中古車市場で多くの人が何を求めているかを示しており、この需要を意識することが、価値の落ちにくい車を選ぶ上での近道となります。
また、どのような車を選んだとしても、その価値を高く維持するためには購入後の乗り方が非常に重要です。
定期的なメンテナンスを欠かさず、車内を清潔に保ち年式相応の走行距離を意識するといった日々の心がけが、数年後の査定額に大きな差を生むことになります。
リセールバリューを意識した車選びは単に経済的なメリットがあるだけでなく、ご自身の愛車を大切に扱うという豊かなカーライフにもつながります。
購入時の初期費用やモデルチェンジのタイミングといった注意点も踏まえつつ、長期的な視点を持って計画的に選ぶことが、最終的な満足度を高める鍵となるでしょう。
この記事が、あなたのこれからの車選びの一助となれば幸いです。